1.光について
光は波である。どんな波かというとラジオとかテレビに用いられている電波と同じ電気的な波である。光は電波であるが波の長さが極めて短い。ラジオの波は数百メ-トル、テレビの波が1メ-トル位であるのに対し光の波の長さは1000分の1ミリ程度である。1ミリの1000分の1は10-6mで1μm(マイクロメ-タ)という単位で測る。
人間の目に見える光の波長は0.38μmから0.78μmである。この可視光の上下に赤外線と紫外線が広がっており人間に限らず地球上の生物が反応する電波の波長はこの領域にある。それは太陽から放射されている電波(通常光と言っている)の強度が最も強い波長の領域である。生命が地球上に誕生して以来太陽の恩恵のもとで進化してきたことによって太陽光に合わせて光感応器官(人間では視覚)が発達してきたことに他ならない。
人間は光の波長を色として認識することができ紫(0.38~0.43)青(0.43~0.49)緑(0.49~0.55)黄(0.55~0.59)橙(0.59~0.64)赤(0.64~0.78)がある。括弧の中の数字は波長で単位はμmである。全ての波長を含んだ光は白色となりいろいろな波長の光をもった風景は天然色となる。
人工的に3つの光を適当に混合することによってすべての色を作ることができる。3つの光は3原色よばれ各原色の波長は0.457μm(青)、0.528μm(緑)、0.630μm(赤)である。したがってこの3つ波長の発光ダイオード(英語のスペルの頭文字を並べてLEDという)ができれば混合によって望みの色がえられる。
2.光の粒子性
光は上で述べたように電波という波動であり、光の干渉、回折といった光の基本的な性質は光が波動と考えることによって説明できる。光は19世紀末まで波動として取り扱われてきたが20世紀に入ると波動では説明できない光電効果(金属に光を当てると電子が放出される現象)が見出され新しい解釈が必要になった。アインシュタインは1905年光は粒子の性質をもっているという光粒子説を提案した。アインシュタインは後年(1921)この業績によりノーベル賞を授けられている。波動と粒子という二つの性質を持っているということは常識的には相矛盾するが実際に生じている事象を説明するためにはこの考えを認容せざるをえない。その後、粒子と考えられている電子も波動性を持つことが明らかとなり今では原子のような極微(10-10m)の世界では波動と粒子の二面性は物理学では常識として受け入れられている。
アインシュタインは振動数νの光はhνのエネルギーを持つエネルギー粒子となることを示した。hは1901年にプランクによって定められた自然界の定数の一つでプランク定数という。波長λと振動数νを掛けたものは光の速さcとなり、ν=c/λであるのでこれをhνの式に入れ現在分かっているプランク定数と光速を与えて計算しやすい式に書き直すとhν=1.24/λとなる。光の波長λは1mmの千分の一のμmで測りエネルギーはeV(エレクトロンボルト)であらわす。eVは原子の大きさの世界のエネルギーの単位で人間の大きさの世界で用いられる単位の1019の1の大きさであり極めて小さい。
この式を用いて各色のエネルギーを計算してみると紫(3.1eV)青(2.7eV)緑(2.4eV)黄(2.2eV)橙(2.0eV)赤(1.8eV)となる。
3.電子と光のエネルギーの交換
電子がエネルギーを失うと失ったエネルギーは光粒子のエネルギーとなりそのエネルギー値に対応した色の光を出す。発光ダイオードはpn接合という巧みな構造により多量の電子を生成することができる。電子はエネルギーを失って消滅するが失うエネルギーは使われている材料によって変わるので材料を選べば希望する色を発光させることができる。たとえば電子が2.4eV失うような材料を用いれば緑色の光を出すLEDを作れる。発光ダイオード(LED)に用いられる材料は金属でなく半導体と呼ばれる鉱物(もちろん人工的に精錬されているが)である。代表的なものとしてダイヤモンドがある。実際問題としてダイヤモンドでは出てくる光が紫外線になるのでLEDとしては役に立たない。実際に使われている材料をあげると「砒化ガリウム(GaAs)」「燐化ガリウム(GaP)」「窒化ガリウム(GaN)」などでこれらをうまく組み合わせて電子の失うエネルギーを変えて希望する色を発光させている。今では近赤外、赤、橙、黄、緑、青、紫、近紫外の各色LEDが市販されている。
4.白色LED
LEDは豆球に代わる表示灯として開発されたものである。長寿命、低消費電力、多色調、高輝度、小形軽量、安価などの特長をもっている。現在では種々の色のLEDがありタングステン球を駆逐してしまった。白色LEDも作られているがこれには2種類あり一つは三原色のLEDを用いて光を混合して白色光としているものである。他の方式は紫外LEDの光を蛍光剤にあてて白色光を発生させているものである。これらの白色LEDは表示灯だけでなく液晶のバックライト用にも用いられている。
紫外線励起のLEDの方式の延長上に今盛んに開発がすすめられている照明用LEDがある昨年シャープは3.6Wながら20Wのハロゲンランプに相当する明るさの照明用白色LEDの市販を始めた。現在ではいささか高価であるが消費電力はハロゲンの5分の1という省電力型で寿命は20倍となるので省エネが叫ばれている時代に適した光源であるといえる。また、演色性に優れているのでショウインドウ用など今後の発展が期待できる照明である。
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